前回記事にした通り、M3 2025秋にブース参加しましたが、空き時間にいくつかブースを周りボイスドラマ作品を入手しました。
その中でも、「これは!」と思ったものをピックアップして感想を書いていきます。
イベントの開催終了から二か月ほど経ってしまいましたが、せめて2025年のうちには……と思い記事にすることにしました。
本当は各作品ごとに一つずつ記事を書きたいぐらいなのですが、まとめての感想になることをご容赦ください。
『誰そ彼の箱庭』
サークル:碧空プラネタリウム
私の調べる限り、遅くとも2006年から活動されている古参のサークルさんの作品です。編集およびお芝居の技術がとても安定しており流石の貫禄。伝奇的な雰囲気のある物語なのですが、劇伴と効果音のチョイスが絶妙であり、世界観を引き立てることに成功していました。
命名が独特で、例えば「ニワ」という登場人物がいるのですが、作中で初めて言及がされる時の演出が、少し間を置いて──「……ニワ?」と。初めて耳にする時、何のことだろう?と引き込まれ、次第にある人物を指していることが分かるといった効果は、オーディオオンリーにしかできない面白味だと感じました。
人物が台詞で状況を細かく説明する箇所がいくつかありました。耳だけで物語を理解してもらおうとすると、ある程度の状況説明は必要なのですが、やり過ぎると台詞として違和感が出てくるのは、ボイスドラマ制作者ならば誰もがぶち当たる壁だと思います。例えば人間が突然正体不明の穴に落ちた直後、「何だろうここ?あたりに綿毛が飛びかってる……」みたいなこと、言うのかなぁとか。この作品はナレーションを効果的に使っていたので、いっそのこと小説でいう地の文の役割としてナレーションを全面的に頼っていたとしも、雰囲気には問題なく溶け込んでいたのではないでしょうか。
『誰そ彼の箱庭』はBoothでも入手できます。
https://booth.pm/ja/items/6854803
『セレスティアの巫女』
サークル:涓滴會
サークル名はケンテキカイと読むそうです。
この作品を聴いた後にクレジットを見て驚嘆したのは、作中の作編曲・作詞をサークルのhirame氏が担当しているということです。ミュージカルのように物語の途中で歌唱が差し込まれるのですが、それだけではなく、恐らくですが劇伴の作編曲も担当されています。大抵のボイスドラマは、Web上の無償/有償の音源ダウンロードサービスから劇伴をピックアップしているものですが、この作品はそうではないということです。作られた楽曲はどれも魅力的であり、ハイ・ファンタジーに属するであろう『セレスティアの巫女』が持つ独自性を強固なものとしていました。
ストーリーは難解でした。この作品でしか登場しない専門用語が飛び交い、専門用語を専門用語で説明し、どこで誰か何をしているのかを掴むことができませんでした。ただ、全てを理解させることを目的とせず、我々がいる世界とは別の世界の観測結果を断片的に共有する、といったことをテーマとしているのであれば、それは成功していると思います。いずれにしても、他では絶対に味わうことのできないテイストを提供できるサークルさんだと感じました。
『ポチっと、ミラクルプラン!?』
サークル:めみゅっと
サークル関係者に音声監督や声優講師などをされている方がいるということもあって、私のあずかり知る範囲では最もシステマチックにボイスドラマを制作しているサークルさんです。公式Xでは制作工程や裏話的な内容をよく発信されており、よく制作の参考にしています。
怪しい動画広告とそこで紹介されているヘンテコな商品という設定を共有したオムニバスなのですが、脚本、編集、演出、キャストの技術のどれもが高水準であり安定感がありました。私のお気に入りは『04_ターゲットロックP』です。話のベースはよくある浮気調査の展開ですが、人を食ったようなオチがとても魅力的で好みでした。『07_株 No Fail Mentor K』は、作中では特に言及がなかったですが、もしかしたら姉妹アプリ間で顧客情報が共有されているのかもしれないな、と。現代美術の展示のチケット、開発企業が協賛しているとはいえ、突然出てきたなぁと思ったので。短くて8分、最も長くて30分程度のオムニバスですが、サクっと聴けるだけでなくそういった深みも味わえました。
後半、「好きな人が想定とは違う人だった」という男女関係を軸にした話が続いたのは、意図的なものなのでしょうか?
『ポチっと、ミラクルプラン!?』はBoothでも入手できます。
https://memut.booth.pm/items/7536616
『完全★超ヴィラン?』
サークル:もちのキモチ
善良度が増した『秘密結社鷹の爪』のようなキャラクターとストーリー。ジャケットを見る限りですが、どう考えても一番腕っぷしが強そうなボスではなくピンクが怪力担当というギャップが面白い(多分鎧の中はスカスカなんだろうな……)。グリーンは声優の怪演により名バイプレイヤーぶりが際立っており、メインキャラの個性が魅力的な作品でした。いくらでも話が作れそうな設定で、もっと違うエピソードを聴いてみたい。
一つ興味深いことがあったのですが、ボスというキャラクター、鎧が脱げたり想定外なことが起こると、普段の威厳から一転、喋り方どころか声からまるで情けなくなるという演出があるのですよね。これが、最初聴いた時「あれ、なんか違う人出てきた?」と一瞬混乱したのです。要するに演じ分けがウマすぎて同一人物であると理解するのが遅れたということです。恐らく映像がついていれば起こらない現象でした。
『完全★超ヴィラン?』はBoothでも入手できます。
https://mochinokimochi3.booth.pm/items/7593148
最後に
M3の作品の感想記事は初となります。
前回記事で触れましたが、ボイスドラマはまだまだマイナージャンルです。作るだけではなく、盛り上げていくという心意気が大事だろうということで、全てのクリエイターが求めているであろう感想をまずは自分から発信していこうと思い立ち、執筆した次第です。
今後も継続していこうと考えています。M3以外にもまだまだ感想を書きたいボイスドラマ作品のストックがあるのですが、それらはまた2026年に。