『ヴァスカレイド』のコンセプトや世界観について

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『ヴァスカレイド』のコンセプトや世界観について

箱舟壱座のキャラクター音楽プロジェクト『ヴァスカレイド』のMusic VideoをYouTubeで公開しました。

Noah.revのビジュアルボイスドラマ作品『夢見月の終着点』, 『ゴースト・ガールズ・パーティ!』, 『.REVIVE[ドットリバイブ]』のキャラクター達が一堂に会するクロスオーバー企画であり、サークル旗揚げ作品であると同時に”過去作品と箱舟壱座を繋ぐ”役割を担わせています。

この記事では、「『ヴァスカレイド』ってどういう意味なのか?」「なぜラップなのか?」等、企画そのもののコンセプトに焦点を絞った内容を書いていきます。

『ヴァスカレイド』の意味

ロゴデザイン: mochimiyu

以下の単語を組み合わせた造語です。

Virtual(ヴァーチャル)
Masquerade(マスカレード / 仮面舞踏会)
Kaleidoscope(カレイドスコープ / 万華鏡)
→”Vaskaleido(ヴァスカレイド)

我々が発表してきた作品群はインターネット(=バーチャル)で知り合った仲間達で作り上げてきたものであること、役という仮面を被ったお祭り作品(=マスカレード)であること、キャラクター、世界観および役者が万華鏡(=カレイドスコープ)のように印象を変えること、という想いをミックスさせて作ったタイトルです。

なぜラップなのか

”ラップはキャラクターとの親和性が高い”という気づきを得たことが一番大きいと思います。

ラップは基本的に”自分のことを歌う音楽”です。ラップを歌唱方法としてではなくHIPHOPカルチャーとして捉えた場合は特にそうなのですが、ポップス(=大衆音楽)と比べると『俺は□□生まれ、育ちは××、生みの親の名前は〇〇、俺を狂わせたヤツは△△』……といった具合に、自分に関する具体的な情報をリリックにする傾向があります。言うなればビートに乗せた自己紹介のようなものであり、取りも直さず、ラッパー本人の生き様がそのまま楽曲の恰好よさに繋がるのがラップの特徴の一つだと言えます。

その前提に立って考えると、”ラップはキャラクターの魅力をダイレクトに伝えることができる音楽表現”と解釈できます。既存のキャラクター音楽プロジェクトでラップを取り扱っている『ヒプノシスマイク』は一大コンテンツとして支持を得ていますが、その理由の一つはこういったところにあるのかもしれません。

それに加え、もとより私自身がラップをよく聴いているという点も大いに手伝いました。ミュージカルなんかも同様にキャラクターと好相性ですが、恥ずかしながらその方面についてはあまりにも引き出しが無く、初の音楽制作となる今回、自分にとって馴染み深いジャンルから攻めるのが妥当であるという判断をしました。

世界観について

『終着点』『ゴガパ』『ドットリバイブ』3つの世界に繋がりはないため、『ヴァスカレイド』では”本来交わるはずがないキャラクター達が同じ作品に存在する”というあり得ないことが起こっています。
これに対し私は、以下の2つの理屈を付けています。

①『ヴァスカレイド』のキャラクター達は、召喚者(=キャスト)達による忠実なシミュレートである

私は任天堂の『スマブラ』シリーズが好きなのですが、『スマブラ』シリーズに参戦するキャラクター達は、キャラクター本人ではなく、”そのキャラクターを模したフィギュアに命が宿ったもの”であり、そのおかげで大規模なクロスオーバーが実現しているという理由付けがされています。他のクロスオーバー作品でも、本来交わらないはずの世界が交わる理由が設定されていることが多く、そのあたりを参考にしながら構想を練りました。

“我々が暮らす世界とは違う世界の観測結果を作家が記録に残し、演者はその記録を元に、自分自身を触媒としてその世界の住人を再現する”……

作品作りという行為は、もとよりそういうことなのではないか?という結論に至ったため、そのまま設定として採用することにしました。

『終着点』のキャラクターは、召喚者(=キャスト)のイメージが色濃く投影され、在り方が変容している

②『ヴァスカレイド』は、”箱舟”の上で起きている出来事である

Twitterで公開した『ヴァスカレイド』の予告映像では、”箱舟”の乗組員であるとある女性が、これまでの旅を振り返り、次の目的地に向けた想いを語っています。

これまでの作品が”箱舟が旅を通して観測した世界での出来事”だとすれば、『ヴァスカレイド』は”箱舟の上で起きている出来事”です。『終着点』のようなメタフィクション的な要素があるというわけです。

企画を通しての感想

これまで以上に初めてだらけの企画で不安もありましたが、その分勉強になることがたくさんありました。

今回、CubaseというDAWを導入し、MIXとマスタリングを私が担当したのですが、その中で得た知識はボイスドラマ作品でも有用なものが多かったです。そのあたりの情報共有も、いずれ記事にしたいと思っています。

素晴らしいキャストとスタッフに恵まれた箱舟壱座の第壱回作品『ヴァスカレイド』は、YouTubeにて公開中です。まだ視聴していない方はぜひ!